


no.2


グッド、バーニング
2026年4月3日[金]ー12日[日]
水性 (東京都中野区)
作・演出 益山貴司
音 楽 イガキアキコ
振 付 黒田育世
出 演 益山寛司
高田静流

炎上する日本で立ち尽くす、二人の物語。
よく燃えよう、グッド、バーニング。
私は今、今を生きる私たちについて語りたい。どうして、そんな想いに駆られたのか?どちらかと言えば、私は、懐古主義的な側面が強い人間だし、世の中の流行り廃りよりも、自分の好きなものを好きでいたい人間ではある。そもそも、演劇の道を選んだのも、演劇が、忘れ去られようとしている過去や記憶を、役者の身体という現在形の物体を通して、今に伝えることができる芸術だからだ。過去から現在を逆照射すると、自分が立っている現在地が見えてくる。と、同時に、どれだけ過去のことを言い募っても、現在地のリアルを直視しなければ、それはただの追憶でしかないのでは、とも思う。むかし食べたご馳走のことをいくら思い出しても、目の前の白米がすすむわけではない。今を生きるためのドラマツルギーは、やっぱり、今にしかない。そんな思いにさせられたのが、2025年に起こったあの事件だ。ありていに言えば、今回の作品のモチーフになった、高田馬場での、あの事件が、私を今、この瞬間の、日本と言うものに、私を取り巻く状況と言うものに目を向けさせ、接続させたのだった。正直なところ、初めは、野次馬根性で事件を眺めていたことを告白する。「配信中の殺人」と言う、あまりにもセンセーショナルな入り口は、ワイドショー的な興味を掻き立てさせるには十分過ぎるものだった。しかし、事件の背後関係に分け入っていくと、そこには、現在の日本が抱える闇の部分、というか、見て見ぬ振りをしてきたものが多層的に折り重なり、積み上がっていた。事件からまだ一年も経ってはいないし、裁判が終結したわけでもない。また、詳しく調査された書籍や報告書が発行されているわけでもない。それでも、報道やネット上に飛び交う、この事件をめぐる情報や言説を拾い集めていくと、被害者と加害者が、社会の隙間に挟まってしまっていたことが浮かび上がってくる。江戸時代に活躍した浄瑠璃作者、近松門左衛門は「義理と人情」の間で苦しむ人々を描いたが、現代日本の人々は「金と寂しさ」の間で苦しんでいる。加害者と被害者も、金に苦しみ、寂しさに悶えた。夢を見ることが許されない、見れば、相応の罰ゲームが用意されている現代日本。生き抜いていくには、誰かを踏み台にするか、罰ゲームの執行覚悟で凸るしかないのだ。そしてもう一つ、私がこの事件に興味を覚えた理由が、犯人である男性と私が、ほとんど同い年であるからだ。彼と私は、いわゆる就職氷河期やロスジェネと呼ばれる世代だ。私たち、80年代前半生まれの人間は、昭和生まれの平成育ち、令和の今はミドルエイジクライシスな人生を送っている。人によっては「棄民」とさえ呼ばれている世代だ。国からも、社会からも見捨てられた世代。とは言え、40歳を超えても、初任給のような給与で、安アパート生活をしていた彼のことを、「人ごととは思えない」などと言うつもりはないし、殺人という最も罪深い犯罪を犯した者に同情する気もない。ましてや同情するような物語を作りたいわけでもない。ルポルタージュを作りたいわけでも、日本の暗部を暴きたいわけでもない。ただ、願いたいのだ、私は。彼が幸せになれた道があったのではないか。被害者である女性にも幸せになれた道があったのではないか、と。演劇という表現で彼を、彼女を、救うことはできないのかと。実際、二人は幸せになりたかったのだと思う。ただ、幸せになるための方法を世の中や社会は教えてくれず、不器用なまま突っ走り、全く逆の結果を招いてしまったのだと思う。幸せに生きる権利は誰にでもあるが、幸せに生きる方法は誰もが知っているわけではなく、ましてや実践することは、むずかしい。現実という、幸せ破壊装置の前では、物事が暴力的に進む。暴力に立ち向かうにはタフでなければならないが、ほとんどの人間は、その拳に押しつぶされる。その叫び声は、ほとんどの場合、世の中には届かない。そして、その届かない声を描くことも、また、演劇の役割だとも思う。よく、「演劇は時代を映す鏡」だと言われるが、今回の作品では、その鏡を、ピカピカに磨き上げてみたい。そこに映るのは見たくもない現実であり、見たかった幸せであり、夢である。私は、その鏡を覗き込む勇気を持たねばならない。ましてや、その鏡に映った自分自身の姿を直視しなければならない。どのような結果も、目に焼き付けなければならないのだ。最後に、作品のあらすじを綴っておく。……配信アプリで人気の女性ライバー「赤毛のAN」は、度々アンチの「黒髪のダイアナ」に粘着され炎上していた。そんな彼女を応援している、うだつの上がらない中年男、七也(しちや)はANの炎上に心を痛めていた。ある日、七也は彼女を励ますために思い切って三十万円ものお金を投げ銭する。すると、七也の元に「会えませんか?」というANからのDMが届き──。炎上する日本で立ち尽くす、二人の物語。よく燃えよう、グッド、バーニング。益山貴司

この度、焚きびびは第二回公演「グッド、バーニング」を中野「水性」にて上演いたします。劇団としても、作・演出の益山貴司、劇団員で俳優の益山寛司、高田静流にとっても、初めての二人芝居となります。
本作は昨年の2025年、高田馬場で起きた事件を題材にしています。
報道やネット上に飛び交う、この事件をめぐる情報や言説を拾い集めていくと、被害者と加害者が、社会の隙間に挟まってしまっていたことが浮かび上がってきます。
ネット社会が産んだ「炎上」という現象やフィクションを交えながら、「現代日本で幸せに生きること」を問いかける物語を立ち上げます。
近年、まつもと市民芸術館プロデュース、野外劇「テンペスト」(作/W・シェイクスピア、松岡和子訳)やKAATプロデュース、音楽劇「愛と正義」(作/山本卓卓)の演出で話題となった代表、益山貴司が、盟友である音楽家のイガキアキコ、振付家の黒田育世を迎え、新しい作品作りに挑みます。ご期待ください。

〈 益山貴司コメント 〉

焚きびび no.2
「グッド、バーニング」
〈作・演出〉 益山貴司
〈音楽〉 イガキアキコ
〈振付〉 黒田育世
〈出演〉 益山寛司 高田静流
▼公演フライヤー
https://drive.google.com/drive/folders/1jRRKRhUbRwsrXHx3vs9qveAz_3fC1Zwh?usp=sharing
〈公演スケジュール〉
2026年4月3日[金]ー12日[日] 全15ステージ
4月3日(金) 19:00
4月4日(土) 13:00/18:00
4月5日(日) 13:00/18:00
4月6日(月) 休演日
4月7日(火) 14:00/19:00
4月8日(水) 19:00
4月9日(木) 14:00/19:00
4月10日(金) 19:00
4月11日(土) 13:00/18:00
4月12日(日) 13:00/17:30
※受付開始、開場は開演の30分前。
〈アクセス〉
「水性」
(165-0026 東京都中野区新井1-14-14 1F 薬師あいロード内)
・JR中野駅から650m 徒歩8-9分
・西武新宿線「新井薬師前」駅から750m 徒歩10-11分
MAP:https://maps.app.goo.gl/LByE7K7NjbtnZXER8
〈チケット〉(全席自由席/当日受付順入場・税込)
前売 4000円
当日 4500円
*未就学児童はご入場頂けません。
*車いすでご鑑賞を希望されるお客さまは、事前に焚きびび(takibibibibi@gmail.com)までお問い合わせください。
チケット発売 2026年2月15日(日) 10:00〜
チケット取り扱い【CoRichチケット!】
◉事前決済
https://takibibi.corich.co/goodburning/prepay
支払方法:クレジットカード(VISA, Mastercard, JCB, AMEX)PayPay
※決済手数料が発生します。
★公演オリジナルステッカープレゼント
◉当日精算
https://takibibi.corich.co/goodburning/door
支払方法:現金のみ
〈スタッフ〉
映像|工藤史皓
音響協力|髙山拓海
フライヤーデザイン・ツールデザイン|河村真由美
WEB|高田静流
フライヤー写真・舞台写真|高木陽春
記録映像|佐藤祐紀
制作|新藤江里子
当日運営|池口茉里、大迫千聡、小林欣也、中島花子、道岡潮酉樹
協力|水性、レプロエンタテインメント、ロマングラス、BATIK
主催|焚きびび
【お問い合わせ】
焚きびび
〈mail〉takibibibibi@gmail.com
〈X〉 @taki_bi_bi
〈Instagram〉 @taki_bi_bi
〈WEB〉 https://www.takibibi.com/
【音楽】
イガキアキコ
音楽家・作曲家・ヴァイオリニスト。
「情景が視える音楽」をモットーに、ダンス、演劇など舞台の劇伴制作や映像作品・CM音楽などでジャンルレスな作曲を手がける。
また、女性5人のネオトライヴァルミュージック・ユニット「Colloid」、にしもとひろことのデュオ「たゆたう」を自身のメインバンドに、エチオピアと日本の融合音楽「エチオピアジア」、架空の映画音楽楽団「Daveollapitta Orquestra」の他、「浮」や「UA」などの様々なジャンルでの演奏サポートや即興演奏家としてのライブも行っている。
主な劇伴作品として、文化庁あにめたまご2019『ハローウィーゴ!』、笠谷圭見監督による障害者施設「やまなみ工房」のアーティストたちのドキュメンタリー映画(2018)、まつもと市民芸術館主催公演野外劇「テンペスト」(2023)KAAT神奈川芸術劇場プロデュース音楽劇『愛と正義』(2025)など。また、Panasonic、資生堂、フェリシモ、ユニクロ、チューリッヒ、Aladdinなど多数の企業のCMなどのプロジェクトに楽曲を提供している。
【振付】
黒田育世
6歳よりクラシックバレエを始め、97年渡英、ラバン・センターにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。02年自身が主宰を務めるダンスカンパニーBATIKを設立。
バレエテクニックを基礎に、身体を極限まで追いつめる過激でダイナミックな振付は、踊りが持つ本来的な衝動と結びつき、ジャンルを超えて支持されている。国内外での活動に加え、Dance umbrella 2004、ベネツィア・ビエンナーレ、サラゴサ万博、SIFA(Singapore International Festival of Arts)など海外フェスティバルからの招聘も多数。またアヴィニョン演劇祭のオープニング作品にダンサーとしても出演。
BATIKでの活動に加え、鈴木優人、金森穣率いるNoism05、飴屋法水、古川日出男、笠井叡、野田秀樹、串田和美、ジョナサン・マンビィなど様々なアーティストとのクリエーションも多い。
2022年3月「黒田育世再演譚vol.1」(「春の祭典」「病める舞姫」)をKAAT神奈川芸術劇場大スタジオ、2023年3月にvol.2(「波と暮らして」「ラストパイ」)を森ノ宮ピロティホールとシアターコクーン、同年11月にvol.3(「YSee」)をKAAT神奈川芸術劇場大スタジオにて開催。

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